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蔵人ニュース
海童を造る傳藏院蔵を知ろう!
【第一弾】 なぜ“革新の蔵”と呼ばれるのか?
2022.11.24

こんにちは!蔵人ライターのモリカワです!

これまでの記事では、「海童 焼き芋」や「海童 栗黄金」、「海童 祝の赤」など、海童シリーズについて掘り下げてきました。それぞれの特長を学ぶことはできましたが、海童LOVERとしては、海童がどのように製造されているのかも気になるところ。

そこで、今月は海童の製造現場に注目してみました!
第一弾は、海童が造られる“革新の蔵”と呼ばれる傳藏院蔵について、そして第二弾では製造を支える若手スタッフにフォーカスします。

今回は、濵田酒造の担当者さんに、傳藏院蔵について聞いてきましたので、みなさんと一緒に、“革新の蔵”と呼ばれる、その理由を探っていきましょう!


伝統を守るためには「革新」が必要

そもそも、濵田酒造には3つの蔵があるのはご存知でしょうか?
濵田酒造創業の地にあり手作業にこだわった伝統の蔵「伝兵衛蔵」、かつて薩摩藩の栄華を支えた串木野金山坑洞内にある継承の蔵「金山蔵」、そして、最新の設備で焼酎を製造する革新の蔵「傳藏院蔵」があります。

その「傳藏院蔵」で造られているのが海童であり、ライチのような香りが特長の本格芋焼酎「だいやめ」、じっくり樽熟成させた贅沢な麦焼酎「隠し蔵」といった人気銘柄もここで生まれています。まさに、濵田酒造の主力商品を製造している重要な蔵と言えそうです。

3つの蔵はどれもいちき串木野市に位置しますが、なかでも傳藏院蔵は、西に東シナ海、東には霊峰「冠岳」を望む、自然に恵まれたロケーションに建っています。

開業したのは2000年のこと。高品質な焼酎の生産性向上を実現するため、伝統の技に裏打ちされた最新鋭の技術と設備を導入した焼酎製造蔵として誕生しました。



傳藏院F棟

では、どういった点が“革新”と言われているのでしょうか。
そこには、「本格焼酎の可能性を求めて進化を続ける」という想いがあるそうです。
聞くと、「焼酎造りにどれほどの伝統があったとしても、品質の高い焼酎を造り続け、多くの人に届けることができなければ伝統は廃れてしまいます。焼酎の大切な伝統を守りたいからこそ、革新が必要なのです」と教えていただきました。


2次仕込みタンク前

最新設備と伝統の技が融合!

傳藏院蔵でも特に注目すべきは「全自動連続浸漬水切り装置」と「回転式自動製麴装置」という2つの最新設備。

まず「全自動連続浸漬水切り装置」は、その名の通り、原材料の米や麦などの浸漬・水切りをする装置です。なぜこの設備が重要かと言うと、浸漬や水切りを行う際に、水が多ければ蒸し米が柔らかくなり、逆に少なすぎると蒸し加減にムラができてしまうのですが、この蒸し米の良し悪しが麹やもろみの出来を左右するからなのです。その後の工程にも良いバトンを渡さなければいけないため、この工程で、いかに最適な水分量の蒸し米を作れるかが、焼酎造りの大事なポイントなのだそうです。




全自動連続浸漬水切り装置


また、「回転式自動製麴装置」は、原料の米や麦などに種麹を散布し、温度や湿度を調整・管理して麹菌を繁殖させる装置です。製麴装置の中の温度を35〜40℃、湿度を90%以上に管理し、約2日間かけて麹が作られ、この製麴装置1台で約10トンもの麹を作ることができるのだとか。まさに、最新設備だからこそなし得る生産環境ですね!




回転式自動製麴装置



ただ、すべてがオートメーションではありません。傳藏院蔵では、ベテランの杜氏や技術者などのプロフェッショナルが約200名在籍し、原材料の調達や原酒製造、品質管理など各部門で活躍しています。

例えば、先ほどの「回転式自動製麴装置」では、杜氏の経験と技をプログラム化することで理想的な製麴を実現します。ほかにも人の手が重要になる場面が多々あるといいます。
やはり焼酎造りは生き物が相手。知識や経験に裏打ちされた職人たちのノウハウを持ち寄り、人の手や目でしっかりと管理する。そこに最新技術が融合することで、より美味しい焼酎を安定的に生産できるというわけです。

もちろん食品安全のための品質管理の取り組みも万全です。傳藏院蔵はゾーニングを設定し、エリアごとの適切な管理を徹底。特に、充填室は完全に外部と仕切られており、ほこりや異物などを侵入させないような仕組みになっています。そのため入室する際には、持ち込み制限や手洗い殺菌、エアシャワーやトリミングによる粉塵除去も行っているんです。

いかがでしたか?皆さんへ安定的に海童を届けるためには、最新の設備やテクノロジーを利用しつつも、そこにはたくさんの杜氏の経験や技術が活かされている。
それが傳藏院蔵が体現する、新時代の焼酎造りであり、まさに最新技術と杜氏の技が融合した“革新の蔵”ですよね!


バーチャル蔵見学で製造現場を体感しよう!

“革新の蔵”としての取り組みを継続した結果、2018年には、鹿児島の焼酎メーカーとしては初となる、食品安全マネジメントシステムに関する最高水準の国際規格「FSSC22000」を取得。2021年には、ISOマネジメントシステム認証機関による「JMAQA AWARDS2021」を受賞しています。企業目標を部門や個人レベルでも一貫して運用できていることを高く評価され、これらの認証・賞を獲得できたそうです。

さらには、環境に優しいエネルギーを使用し、パウチ商品を採用するなど、環境負荷軽減への取り組みも継続して行われています。人と地球に優しい活動によって、おいしい焼酎が造られていると思うと、これまでと違った味わい方ができるかもしれませんね。

ここまで紹介すると「実際の傳藏院蔵を見たくなった!」という方もいらっしゃると思うのですが、残念ながら現在は、新型コロナウイルスの感染防止対策で蔵見学は休止中なんです。その代わり、バーチャルでの見学は可能なので以下のリンクから覗いてみてください!
詳しい解説と共に各製造工程をじっくりと見ることができるので、現地に行っているような感覚で楽しめますよ!

傳藏院蔵が革新の蔵と言われる所以がわかりましたか?次回は、傳藏院蔵で活躍する若手社員にフォーカスして、焼酎製造や海童への想いなどを紹介しますので、次の記事もぜひお楽しみに!

傳藏院蔵バーチャル蔵見学はこちらから!